2015年5月27日水曜日

流行りに乗ってラーメンを自作してみました スープ、たれ、食べた感想編

製麺編続けて、スープをとって食べるところまでいきましょう。


スープは豚骨でいきます。自分の嗜好としては鶏ガラでとったスープをあまり好きではないようなので。


豚骨でスープを取ろうとするといくつか問題があります。

まずはどこで豚骨を入手するかということでしょうか。近所の肉屋や業務用スーパーをいくつか回ってみたんですが、豚骨を扱っているところはありませんでした。注文して取り寄せてもらうのも無理だというところばかり。

豚骨を扱ってそうな店はちょっと遠いので、そのへんのスーパーで売っているものでごまかしてしまうことにします。

ということで、そのへんのスーパーで打っている骨付きの豚バラ肉を買いました。5つくらいの塊をパックして売っているやつです。骨と肉を切り分けて、骨の部分を冷凍保存しておきます(肉の部分は煮込みやカレーなど普段の料理に使う)。2,3回分貯めれば一回のラーメンスープには十分な量の骨になります。


骨が手に入ったら、つぎに解決しないといけないのは加熱の問題です。何時間も火の前で見張っていなければならないのはとても面倒です。

なので、シャトルシェフで加熱しました。魔法瓶みたいな保温調理機です。一般的には圧力鍋を使うんでしょうが、もっていないので仕方がない。8時間ごとに加熱しなおして、合計丸一日加熱してみました。

ただ、加熱したからといって出来上がりにはなりません。シャトルシェフの場合、水分が飛ばないのが致命的です。煮干しや昆布などの乾物を使う和風だしと違って、肉や骨を使ったスープはある程度水分を飛ばして濃縮しないと物足りない感じになってしまうと思います。たとえば、僕の参考にしている料理本18ページで豚と鶏を使った中国風スープの取り方を説明しているのですが、これも「およそ半量に煮詰まったらできあがり」になっています。

ということで、加熱した後に水分を飛ばす工程を加えます。表面積の広いフライパンなどで沸騰させればすぐでしょう。

これがシャトルシェフで加熱した後にフライパンに移したところ。

ここで強火で一気に過熱すれば白湯に、濁らないよう弱火で加熱すれば清湯になると思います。今回はさっさと仕上げたかったので強火で20分前後加熱しました。

加熱後はこんな感じになります。味見をした感じ、水分と一緒に嫌な臭みも飛んでしまったようだったので、ショウガやニンニク、ネギの青い部分などの匂い消しは入れないことにしました。

骨を取り除いて、一度器に移して写真をとってみました。豚骨というよりも、骨の周りに残っていた肉やスジの部分が溶け込んだ白濁スープといった方が良いですね。まあ、それほど「骨髄からとりました!」ってスープが好きなわけでもないしこれでもいいかなあ。


つぎはタレです。骨と一緒に加熱しておいた豚肉を醤油タレにつけます。その醤油タレを煮詰めます。一度煮詰めておかないと、臭みが残るし、味がボンヤリするように思います。

どうもミリンがくどく感じられるので今回は醤油タレにミリンを使っていません。ミリンのかわりにすりおろしたタマネギと醤油を合わせたものを使っています。

煮ている様子が下の画像です。トマト缶が消費しきれなくて残っていたので、トマトも少し入れました。


最後に全て合わせてできあがり。

肉は加熱しすぎたせいでボロボロになってしまったので、チャーシューぽく切ったり焼いたりしないでそのまま乗せています。始めは和歌山ラーメンのように仕上げようと思っていたのでカマボコつき。

スープは悪くはないですね。トマトも意外に違和感がありません。ただまあ、変にトマトを入れたりせず、普通の和歌山ラーメンっぽい仕上げにした方がよかった気はします。料理素人はやらなくてもいい変なことをしたくなっちゃうんですよねえ。

麺はちょっと柔らかい気がする。
加水率が高めのせいでしょうか。それとも和華は柔らかく仕上がるんでしょうかね?加水率の低い製麺は難しいし、和華を使い切るまでは他の粉を使いたくない。ということで、つぎはもうちょっとカッチリさせるために貝殻焼成カルシウムをちょろっと混ぜてみようかと思います。


自作ラーメンは手間や時間がかかりますねえ。しかし、工夫をすれば台所に一日中こもっていないといけないというわけではなさそうです。僕のように徒手空拳でやろうとせず、圧力鍋や製麺機をうまくつかえば、さらにハードルは下がるでしょう。

僕もハードルを下げるように工夫しながら、ちょくちょく作っていきたいと思います。

流行りに乗ってラーメンを自作してみました 麺編

最近の自作ラーメンブームは凄いですね。ネットで自作ラーメンと検索すれば、工夫をこらしたラーメンがたくさんでてきます。

この流行に乗って僕も作ってみました。僕は製麺機を持っていないし、ラーメン用の豚骨を買う気概もないし、有名店を再現するほどラーメンに詳しくありません(一月に一度も食べないかもしれない)。そんな僕の作った手抜きラーメンですが、せっかく作ったので公開してしまいます。


まずは麺からいきましょう。小麦粉にかん水を回します。

小麦粉は市販のパン用強力粉でもいいと思いますが、せっかくなので通販で麺用粉「和華」を買いました。和華にしたのは水なじみが良い的なことをマダラさんのブログで見たからです。

中華麺は塩とかん水で小麦粉をガッチリ固めてしまうものなので、製麺機やパスタマシーンがないと加工が難しいです。手打ちで作るなら、必然的に加工のしやすい多加水になります。でも僕は多加水のピロピロした麺はあまり好きではないのです。

そこで、水を控えめにしてもなじみやすいという粉を選んでみました。まあ、手打ちで作る以上、結局多加水気味になることは避けられないと思いますが。特ナンバーワンがベーシックで良いとツイッターでマダラさんから指導をいただいたので、そのうちそちらも使ってみます。


かん水は炭酸ナトリウムの水溶液。炭酸ナトリウムを選んだのは、他のアルカリ性物質を入れた麺と作り比べてみて素直で食べやすいと感じたからです。

市販の粉末かん水や貝殻焼成カルシウムを使ってみたこともあるのですが、前者は食堂の中華麺のようなわざとらしさがピンとこなかったし、貝殻焼成カルシウムだとガッチリした食感になりすぎると感じたのです。あ、重曹の水溶液という手もありますね。これはアルカリ性が弱いのでイマイチラーメン向きではないと僕は思います。

ちなみに、炭酸ナトリウムは実家でこんにゃくを固めるときに使っていたものをもらってきました。まあ、重曹を水に溶かして沸騰させれば熱分解で炭酸ナトリウムを造れるのですが、mol数とかを計算するのが面倒臭いです。中学化学もよくわかっていない無能ですから。たしか重曹の6割程度の重さの炭酸ナトリウムができるはずだったような。

小麦粉は一人分で100g。加水率は失敗しないように40%。これより加水率を下げると手打ち製麺の難易度がグッと上がる気がします。しっかりしたローラつきの製麺機があれば加水率35%くらいで作りたいんですけどね。

炭酸ナトリウムは1g。ちゃんと溶けるように前日から水に溶かしてよくかき混ぜておきます。塩も1g入れました。塩を入れるとしっかりした食べごたえの重い麺になる気がします。ただ、うどんの場合のように長い茹で時間をとって茹で汁に塩分を追い出すことはできないので、塩の量について選択肢は多くないですね。


7割くらいのかん水を小麦粉に投入します。水の馴染んでいない部分があるとそれだけで麺は失敗なので、一生懸命かきまぜます。湿った小麦粉状態になればOK。


さらに残りのかん水を全て混ぜたら寝かせます。僕は丸一日寝かせました。
とにかく小麦粉と水をなじませる。水となじんでいない小麦粉は製麺の大敵(たぶん)。


寝かしたものをまとめると下のようになります。あまりコネずに空気を抜く感じでまとめると良いと思います。あまりこねるとグルテンがぶちぶちに千切れた感じになって逆効果感が凄いです。
これに水の入ったナベを乗せて一日寝かせます。おもりを乗せるのは空気を抜きたいからです。効果があるのかは微妙なところですが。製麺では生地の中の空気は敵だと僕は思っています。


つぎは延ばし。ただ、かん水と塩でガチガチに固まった麺帯を麺棒で延ばすのは正直つらいです。だから手打ち麺は麺帯が柔らかい多加水で作るんでしょう。製麺機ローラーのありがたみを感じる場面ですね。正直、やはり中華麺作りに製麺機は不可欠だと思います。

しかし、僕は製麺機を持っていない。製麺機がない以上、裏ワザでごまかすしかありません。麺生地には正直あまり良くないと思いますが、50℃前後の湯で温める。温度が高いとグルテンの流動性が高くなって麺棒でも楽に延ばせるようになります。
延ばしたら三枚に折りたたんで、また延ばす。複合圧延のつもり。


延ばしたらこんな感じになります。
 これを麺棒にまきつけてラップで覆い、また寝かせる。



最後は切りです。切ってまとめたのが下の写真。
麺の長さは35~40㎝くらいがちょうどいいと思います。そばは30cm前後でも良いと思うのですが、ラーメンはもうちょっと長くないと明らかに物足りない。

僕はそんなに長い麺切包丁を持っていないので、麺帯を折りたたんで切っています。 麺切包丁がなくても、普通の包丁でも切れますよ。ただ、人数をこなさないといけない場合などは製麺機がないとつらいでしょうね。


作業の段階ごとに一日寝かしているのは、僕の都合上夜しか作業できなかったからです。たぶん数時間寝かせればOKなんだと思いますが、試していないのでよく分らないです。


切りあがった麺はキッチンペーパーでくるんで、ビニール袋に入れて冷蔵庫で寝かせます。

これくらいの加水率だとビニール袋の中側に結露するので、キッチンペーパーにくるんでおかないとベチャベチャになります。毎日濡れていないかチェックしないといけないですね。寝かし時間は3日以上とりたい気がする。寝かせないとコシが出ないです。寝かせている間にかん水の成分が反応するのでしょうか?

スープ、できあがり編に続きます。