2015年1月26日月曜日

てんぷらをつくってみる その2

てんぷらをつくってみるで書いたように、そばの打ち粉入りのてんぷらを作ってみます。

そばの打ち粉は湿っても全然ベタつかないので、カラッとした揚げあがりに貢献してくれるのではないかと思うからです。

基本になるバッター液は前回同様、油で軽く練った後水を混ぜたものです。


さっそくですが揚げあがりはこんな感じ。
サクサクした食感でいい感じです。衣はこの線でいけば良さそう。


今回気になったのは、衣が具の水分でふやけてくる点です。特に酷いのがしいたけで、衣がしいたけの水分を吸ってふにゃふにゃになるのがはっきりと分かりました。

衣をふやけさせないように徹底するなら、一つずつ揚げて油をきったらすぐ食べるようにするべきなんでしょうね。高級なてんぷら屋が少しずつあげたてを客に出すのは、衣がサクサクのうちに食べてもらおうという思惑があるんでしょう。ただのイヤミな気取りかと思っていました……。ごめんなさい。

そこまでできないにしても、衣に湿気を移しやすい具は食べる直前に揚げるとか、そういう工夫をしないといけないですね。これからの課題は具の特徴をつかむところにあると言えましょう。

とりあえず具について気付いた点をメモ。
・しいたけ 衣がめっちゃふやける。食べる直前に揚げるべし。
・かぼちゃ  時間をおいても衣がふやけない。
・スナックえんどう これも衣がふやけないぞ。優秀だ。
・ えび 尻尾とって揚げちゃダメだ。香ばしさが失せてしまった。

知人の料理人に聞いた話だと、まともな料理屋では薄衣で具がメインのてんぷらが王道だそうで、衣にあまり凝ってると「具と衣どっちを食わせるつもりなんだ」 と通にドヤされるそうな。

まあ衣だけじゃなくて、それぞれの具材の下ごしらえとかも考えないといかんのでしょうね。


余ったバッター液でてんかすを作ったので、たぬきそばにしてみました。

パッと見は良い感じですがアップにすると…
ほら酷い。ペラっとした麺が混じりすぎている。


延ばす時に薄くしすぎている部分があるってことですねえ。こっちも改善法を考えないといかんなあ。

2015年1月18日日曜日

てんぷらを作ってみる

僕が一人暮らしをはじめて、かなり時間が経ちました。ところが、僕はてんぷらを家で作ったことがありませんでした。

揚げ物は外食する際の有力な選択肢だ。家でまで揚げ物を食う必要はないだろう。それに、高温の油を扱うのは怖いし、汚れそうだよなあ。

しかし、ネット上の自炊の様子などを見ると、てんぷらは人気メニューの一つですよね。人が作っているのを見ると、自分でも作ってみたくなります。外食で食べられないオリジナルなものが出来上がるかもしれないし、丁寧にやれば危険や汚れはそこまで気にすることもなかろう。

そういうわけでてんぷらを試作してみました。


手羽先が半額になっていたのでこれで作ってみます。手羽先でてんぷらって変な気もするけど、まあ試作だから細かいことは気にしない。

身の多くついた部分の骨を外しました。薄い方が火の通りが均一になりやすいと思ったので、骨を外した後に開いてあります。骨のはずし方はこのへんが参考になります。
ためしてガッテン手羽先の骨抜き法
ただ、これ確か上手くいかないって苦情だらけになっていたような記憶が……。


てんぷらの命はサックリとした衣ですよね。衣はこれを参考にしました。
誰でもサクっと揚がる天ぷら

あれ、消えてるな。確か、薄力粉を水と混ぜる前に油に混ぜてしまうという動画だったような……。

理屈はこういう感じです。てんぷらがサックリ揚がらない原因はグルテンである。グルテンは小麦粉の中のグリアジンとグルテニンに水分を加えて練ることでできる。そこで、小麦粉に水より先に油を混ぜてしまうことで、グリアジンとグルテニンが水分と結びつきにくくする。小麦粉に油を混ぜ込んでしまうと油っぽくなりそうだが、油は揚げる時に揚げ油に出ていくから問題がない。


さらに、グルテンがサックリしたてんぷらの敵だということなので、出来上がったバッター液に片栗粉を混ぜ込んでみました。片栗粉はグルテンを含まないから、バッター液全体のグルテンの割合が減ってくれるはず。


んで出来上がりがこんな感じ。

たしかに初めてにしてはサックリと揚がった気がする。しかし、片栗粉を使ったせいでてんぷらというよりも竜田揚じゃねーか感があるなあ。

次にやるときは片栗粉じゃない粉を混ぜ込もうと思います。いや、ぶっちゃけると蕎麦用の打ち粉を混ぜることに決めてるんですけどね。蕎麦用の打ち粉は同じデンプンでも片栗粉よりサラサラしているし、こういう目的には合いそう。


サックリ揚げる方法としては、氷で冷やす、酢を混ぜる、重曹や炭酸水を入れる、といった方法もあるみたいですが、どうしても上手くいかなくなってからためすことにします。これらは面倒くさそうだったり味に変な影響がでそうだったりするんだよなあ。


あ、余った骨と手羽先の先の部分はラーメンのスープに使いました。冬だから辛いラーメンで体を暖めよう。

明かりの照り返しでどんなラーメンなのかイマイチ分からないぞ。料理の写真を撮るのは難しいなあ。

2015年1月5日月曜日

僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編

僕は、料理によって昆布出汁と煮干し出汁を使い分けます。しかし、一番多いのは、昆布出汁と取って、それを使って煮干し出汁を取って、さらにそれを使ってかつおぶし出汁をとることです。

これを読むと「うえっ、ホンマかいな。趣味悪いメガネやな。」と思う人が多いのではないかと思います。魚と魚を合わせるのは味がぶつかるのでご法度だという場合が多い。特に煮干しの場合は癖が強い。煮干しとかつおぶしと合わせるなんてありえない。

確かに煮干し臭い出汁でかつおだしを取ると悲惨なことになると思います。でも、水出し煮干し出汁の場合は別段味がぶつかるように思わないのですよね。旨みは煮干し、香りはかつおぶしで上手く役割分担ができているように感じるというか。

まあ、僕が明らかにバカ舌なので、普通は不味いと思う味も受け入れてしまっている可能性は否定できません。しかし、そもそも自分のために料理を作っているのだから、自分の好みに合っていればそれで良いのです。

ただ、自分の好みだけを基準にしている以上、万人向けとは言い難い点があることを否定はできません。もし、僕の出汁の取り方を参考にされる人がいらっしゃるなら、そのあたりのことは頭に置いて、自分の舌で味わってから採否を決定してください。


では、かつおぶしの選び方からいきましょう。

近所のスーパーではパックのかつおぶししかないので僕はamazonで買っています。適当によく売れているものの中から選んでいるので、かつおぶしの良し悪しとかはあまり良く分からないのですよね。

かつおぶしにも色々種類はありますが、本枯節の背節を選んでいます。僕は旨みは煮干し、香りは鰹節というふうに役割分担をさせるので、香りが良いと言われるものを選択するわけです。まあ「腹の方を使ったかつおぶしは僕の出汁には絶対に使わない!」とは言いません。そんなにいうほどの違いはないと思います。


かつおぶしの場合も煮干しと同様に保存が大事です。僕は包装で包み直して冷蔵庫に保存しています。

かつおぶしは腐ったりはしないのですが、キッチリ保存していないと乾いて硬くなったり味が劣化したりします。固くなって削れないし香りも薄くなって不味いかつおぶしは腹立たしいものです。多少邪魔にはなりますが、キッチリ包装して冷蔵庫で保存するべきだと思います。


それでは、いよいよかつおぶしけずりを削って、暖めた出汁に放り込みます。

煮干し出汁の取り方で作った煮干しの出汁に、削ったかつおぶしを大さじに盛り気味で一杯くらいかな?基本的に旨みより香りを期待しているので、それほど大量には入れません。

時間は2、3分。山崎清子ほか『新版 調理と理論』17頁以下(同文書院、2003)を見ると、かつおぶしの場合は熱湯に一瞬で色々な成分が溶け出してしまうようですから、長く加熱はしません。

湯をグラグラ沸騰させることは避けます。グラグラ煮たものは渋みが出てくるように感じますから(あまり自信はない)。

最後に茶こしで濾してできあがりです。細かいカスが残るのが嫌な人は、別の容器に移しておいて、カスが沈んでから上澄みを使えばよろしい。


かつおぶしの出汁ガラも再利用ができます。しっかり水分を切って、キッチンペーパーの上などに置いて乾かしましょう。炒めてみりんしょうゆで味付けして、すりごまと刻みのりを合わせればふりかけができあがりです。細かく砕いで魚粉にしてもいいですね。


この画像のご飯はかつおぶしの出汁ガラのふりかけと小松菜を混ぜ込んだものです。かつおぶしのふりかけは思いのほか美味しいので、ただ捨ててしまうのはもったいないですよ。

かつおぶし出汁の取り方は以上です。


最後に、この記事の題名である「かつおぶし・その他」のその他の部分について述べます。

この「その他」で言いたいのは、水出し煮干し出汁を応用して色々なスープを作りましょうということです。


水出し煮干し出汁はかつおぶしを重ねても違和感がないくらい癖が少なく、そのくせ旨みが強い出汁なので、香辛料と油次第で中華風にも洋風にもなります。

にんにく、しょうが、八角のかけら少しだけ、ゴマ油で中華スープ。ローリエを香りの軸にして香味野菜を加えれば洋風スープ。肉を加えれば味に厚みが出ますし、酢を加えて酸っぱくさわやかに仕上げるのもアリですね。

この画像はココナッツミルクを使ったチャーハンのものですが、この右のスープは水出し煮干し出汁を中華風にアレンジしたものです。にんにく、しょうが、八角のかけら少しだけ、具にワカメと豚と卵ですね。


水出し煮干し出汁は応用範囲が広いと思います。僕もいろいろ試してみるつもりです。

僕の出汁の取り方 煮干し編

僕の昆布出汁の取り方は僕の出汁の取り方 昆布編に書いています。今回は、この昆布出汁を基本にして煮干しの出汁をどう取っているのか記録したいと思います。昆布出汁に煮干しの旨みを合わせて旨みの相乗効果を狙うわけです。


それではいきましょう。まずどんな煮干しを選ぶのか。

もったいぶった書き出しからいきなりなんですが、よく分らないのですよね。劣化して変色したり、砕けてボロボロになったりしていないもの、ってくらいでしょうか。

あ、あと大きい煮干しの方がよい出汁が出るような気がするなあ。伊吹島産の煮干しとかしっかりしてますよね。やっぱりああいうのがいいと思います。

忘れてはいけないのは煮干しも劣化が早いということ。小さめの袋に入ったものをすぐ使い切ってしまう方がいいですね。大きい袋入りの方が安いですが「劣化した煮干しがこんなに余ってしまった!」となりがちです。一人暮らしだったりたまにしか料理をしなかったりする人は小さい袋を選びましょう!


次に問題になるのは煮干しを何に浸して出汁をとるのか。ただの水?それとも昆布出汁?

僕はいきなり昆布出汁に浸しています。昆布出汁とは別に水から煮干し出汁をとって、それを昆布出汁と合わせた場合と特別違いを感じませんでしたから。むしろわざわざ分けて取る方が余分な水分量が多くなりがちで良くないのかもしれません。まあ、特別な違いを感じない時はLESS is MOREですよね。


次が一番よく論じられる問題です。水に浸した煮干しを加熱しないで一定時間放置することで出汁を取るのか、加熱して出汁を取るのか、それらの折衷でいくのか。

僕は基本的に水出し放置法で出汁をとっています。放置時間は一晩程度。この方法のメリットは二つあります。

一つ目は煮干しの臭さが出ないこと。煮干し出汁の弱点は煮干し臭さのせいで味噌汁以外に応用がきかないところにありますが、水出しの場合、煮干し臭さがほとんどないので色んな料理に応用することができます。これがとても大きい。

二つ目のメリットは頭や内臓を取る細かい処理が不要であるということ。加熱する場合、頭と内臓を取らないといかにも煮干し臭い出汁になってしまいます。また、意外な盲点としては煮干しの銀粉、鱗の部分からも煮干し臭さは出るということです。この処理は結構面倒臭いものです。

デメリットとしては時間がかかることでしょうか。しかし、寝ている間や昼間外出している間に水に浸しておくだけですから、それほど害はありません。

あ、煮干しの旨みを十分活用できていないではないかという批判もありえるかもしれません。山崎清子ほか『新版 調理と理論』20頁以下(同文書院、2003)を見ると、全く加熱なしだと旨み成分はかなりの程度煮干しに残っていると考えられます。これに対しては「出汁ガラも食べちゃうからいいんだよ!」と答えましょう。出汁ガラの食べ方は後述します。

基本的に水出しを採用するといっても、その理由は煮干し臭さを嫌うところにあるわけですから、煮干し臭さが歓迎される料理の場合は加熱して出汁を取る場合もあります。里芋など根菜の味噌汁の場合は煮干し臭い出汁の方がよく合うと僕は思っています。


最後に問題になるのは保存法です。

僕は魚系の出汁については保存を諦めています。魚系の出汁は冷蔵でもあっという間に悪くなってしまう。特にかつおぶしは肝心の香りが消えてしまう。魚系の出汁は使うときに取るようにしています。

昆布の出汁は冷蔵で4、5日はもつかもしれませんが、魚系の出汁は2,3日で濁りはじめてもうダメだと思います。

それでも、どうしても保存したいときもありますよね。煮干しの出汁をとったはいいけれど、疲れ切っていて本格的な料理は明日にしたいときとか。そんなとき煮干し出汁の場合は冷蔵ではなく冷凍します。冷凍なら冷蔵よりは劣化が激しくないです。かつおぶしはどんな場合であっても保存しません。僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編で述べますが、かつおぶしの場合は煮干しと違ってすぐに出汁が取れるのでそもそも保存する必要がありません。


それでは、凍らせておいた昆布出汁と煮干しを具体的にどう組み合わせて出汁をとるのかやってみましょう。



これが凍らせておいた昆布出汁です(いや、これは凍らせる前だな)。まあともかく、このケースに煮干しを4,5本放り込む。


昆布出汁の氷は溶かして水に戻しておく必要はありません。冷たい温度の方が煮干しの臭みが出ないので、凍ったままのところに放り込んで解凍と水出しを同時に行う方が好都合なのです。昆布出汁もわざわざ一度溶かしておくよりも劣化しにくい。

台所のシンクの片隅にでも煮干し入りの凍った昆布出汁を放置しておいて、一晩置けば煮干しと昆布の出汁のできあがりというわけです。

ちょっと注意をしないといけないのは、時期によって氷の溶け方が違ってくるということです。夏の暑い時期は冷蔵庫に入れておいた方がよいでしょうし(結露が出ることに注意)、冬の寒い時期で昆布氷が自然に解けそうにないなら熱湯などで少し溶かしておく必要はあります。温度によって微調整が必要だということですね。


さて、だしがらの煮干しはどうしましょうか。前述したように、水出しの場合は煮干しに旨み成分が残っているので、そのまま捨てるのはもったいないのです。まあ面倒くさい時は捨ててしまってもいいのですが、僕はできるだけ食べるようにしています。


まずは上の画像のように頭と内臓を取り外します。水でふやけているので、煮干しの背と腹の部分をかるくつまむようにするとすぐバラバラになります。面倒ですが、乾燥した状態で頭と内臓を取り除くことと比べればずいぶん楽です。

頭と内臓は捨てます。これらは強烈に煮干しをアピールするラーメンでも作る場合でない限り使えないと思います。一度頭と内臓を使って煮ものを作ってみたのですが、不味い、助けてくれと悲鳴をあげながら食べるはめになりました。

鱗もちゃんと取りましょう。水にさらしながら指先で表面を撫でるようにすればすぐ取れるはずです。これが残っていると煮干し臭さが目立つ料理になってしまいます。


これで処理が終わったので、あとは適当に料理に使えばよろしい。キッチンペーパーの上などで乾かしてからピーナッツと炒めてみりんにからめて小魚ピーナッツにしたり、乾いたものを細かく砕いて魚粉にしてラーメンに使ってみたり。ふりかけもいいですね。


僕のオススメはミリンにつけてふにゃふにゃにしておいて、煮ものに使うことです。口当たりはソフトだし、変な煮干し臭さもない上品な味で悪くないですよ。小腹がすいたときにどうでしょうか。


以上で煮干し編は終わりですが、僕は実際に煮干し出汁をそのまま料理で使うことはあまりありません。これを加工して料理に使うことが多いです。その方法は僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編でどうぞ。